第11回 長根忠人
第三章 アンチエージング
(1)遺伝子

生物の細胞核の中には遺伝子が存在し、これにより調節された特定
のタンパク質などが生命の維持に関わっている。特定の遺伝子が傷害
される事で病気が発症する事が研究で判明しており、その解明が進ん
でいる。最近の研究では老化や寿命に関わる遺伝子も見つけられて
おり、それを解明する事により、老化を防ぎ、寿命を延ばす事が出来る
と考えられ、新たな治療法を確立しようとしている。
「長寿遺伝子」「短命遺伝子」「若返り遺伝子」などといくつか見つけら
れているが、その中で「サーチュイン遺伝子」が脚光を浴びていた。こ
の遺伝子の活性化により合成されたタンパク質、サーチュインはDNA
に作用して遺伝的な調節を行う事で寿命を延ばすと考えられている。
また、アルツハイマーの治療にも使えるのではないかと研究されてい
る。サーチュイン遺伝子は飢餓やカロリー制限によって活性化され、他
に赤ワインに含まれるポリフェノールの一種、レスベラトロールによって
活性化される事が分っている。しかし、問題があった。人間は飽食の時
代を迎え、ほとんどの地域では飢餓が無く、カロリー制限も守り難い状
況になっていた。また、充分なレスベラトロールを取る為には赤ワイン
を一日にボトル100本も飲まなくてはならないと言う事が分った。そこ
で各製薬会社は、いかにしてサーチュイン遺伝子を活性化するか、レ
スベラトロールを改良・製薬として作製するかに凌ぎを削る事となった。
【続きは本誌で】
長根 忠人(ながね ただと)
医学博士。
旭川市内でサクラ咲くクリニックを開業。
09年に上梓した医療SFアクション小説『イプシスの刃』(文芸社)が好評発売中。
サクラ咲く ブログ( http://sakurasaku-c.sblo.jp)
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