第14回 長根忠人
第三章 アンチエージング

(4)ミトコンドリア活性物質
ミトコンドリアの機能改善をする事によりアンチエージン
グが可能と確信した大和製薬の遠山健史は、ある物質を
見出した。
それは、ミトコンドリアがまだ独立した生物として存在し
ていた時代に地中に有ったソマチッドというもので有った。
遠山はソマチッドの事について文献を探した。それは思っ
た以上に大変な作業だった。
「うーん…、このままでは終われない」遠山は自分を鼓舞し
て調べた。そしてついに、ある動物の一部に取り込まれて
いる事が分かった。それは鶏卵のからざに存在していた。
鶏は土中のミミズを食べているうちにソマチッドを取り込み
体内で合成できるようになった。しかし、生まれる前にから
ざを食べて体内に取り込む必要があり、そうしないと利用
できないシステムになっている事が分かった。生物の複雑
な進化が想像され、ソマチッドも生物だったのかも知れな
かった。
「抽出方法も改善したし、ラットを使って実験だ」
遠山はソマチッドをラットに摂取し、経過を見た。摂取され
たラットは未摂取群に比べて明らかに長生きをした。
又、ヌードマウスの皮膚に塗布すると皮膚の老化が抑え
られた。
「やった!後は製品化するだけだ!」
遠山はデーターを基にプロジェクトチームを立ち上げて
更に研究を進めた。約半年後、遂に完成した。
【続きは本誌で】
長根 忠人(ながね ただと)
医学博士。
旭川市内でサクラ咲くクリニックを開業。
09年に上梓した医療SFアクション小説『イプシスの刃』(文芸社)が好評発売中。
サクラ咲く ブログ( http://sakurasaku-c.sblo.jp)
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